ドイツのロベルト・ハーベック経済・気候相(緑の党)は9月27日、予備電源に組み込む予定の残存原発2基を年明け以降も稼働させる見通しを明らかにした。隣国フランスで冬季に電力が不足し、ドイツからの供給量が従来予想を上回る可能性が高まったため。国内の安定供給を確保するためには2原発の継続活用が必要とみている。
ドイツは今年末までの原発全廃を法律で定めている。だが、ウクライナに侵攻し制裁を科されているロシアが報復として欧州向けの天然ガス供給を停止していることから、ロシア産ガスへの依存度が高いドイツでは冬季にエネルギーが不足する可能性がある。ハーベック氏はこれを踏まえ、現在稼働している3原発のうちイザール2とネッカースヴェストハイムの2原発を来年1月1日から予備電源に組み込む意向だ。予備電源扱いとなる期間は来年4月15日まで。
同氏は反原発を原点とする緑の党に所属している。このため原発2基を予備電源化した後、できれば再稼働させたくないという思惑がある。
だが、フランスの原発は現在、半数以上が稼働できない状態となっており、冬季に深刻な電力不足に陥るリスクが高い。
独経済・気候省はこれまで、仏原発の冬季の発電能力を計50ギガワット(GW)と想定していた。だが、最新のデータでは来年2月末時点で40GWにとどまる見通しとなったことから、イザール2とネッカースヴェストハイム原発を年明け以降も活用する必要性が高まったと判断。両原発を来年3月まで稼働させる見通しを示した。