ハンガリーのオルバン首相は10月31日、インターネットの利用に課税する法案を撤回することを明らかにした。同法案への激しい反発を受け入れたもので、財政赤字の是正に向けた新税導入計画をひとまず白紙に戻した格好だ。
同法案はインターネット通信1ギガバイトにつき150フォリント(0.5ユーロ)を徴収するというもの。政府はこれにより歳入を200億フォリント(6,500万ユーロ)拡大し、財政健全化につなげたい考えだった。
課税額については個人で700フォリント(2.3ユーロ)、法人で5,000フォリント(16.6ユーロ)を月額上限として、ネットユーザー負担が大幅に膨らまないように配慮した。だが、同法案に対してはプロバイダーの事業に影響が出るほか、平均月収が400ユーロに満たず、他の消費課税も含めると納税者の負担が小さくないとの批判が続出。26日には首都ブダペストで法案撤回を求める大規模な集会が開催された。
オルバン首相は課税断念について「インターネット利用への課税を不合理だと感じる国民の声を尊重する」と説明。一方、オンライン上で発生した収益に課税する新たな法案を来年にもまとめる意向を示し、ネット課税を通じて歳入拡大を図る方針を堅持した。