英政府統計局(ONS)が11日発表した2022年7~9月期の国内総生産(GDP、速報値)は、物価変動分を除いた実質ベースで前期比0.2%減だった。マイナス成長となるのは、コロナ禍で景気が冷え込んだ21年1~3月期以来6四半期ぶり。物価高で個人消費が低迷したことなどが響いた。
GDPはロイターがまとめた市場予想(0.5%減)より小幅な減少にとどまったが、年率に換算するとマイナス0.7%となり、英経済の先行き不透明感が高まっている。
GDPの約6割を占める個人消費は7~9月期に0.5%減となった。記録的なインフレで衣類や食料品、日用品などの消費が減少した。
英国では物価高が今後も経済を圧迫する見通しで、中央銀行のイングランド銀行は年内に物価上昇率が11%まで拡大すると予測している。中銀は今月初め、市場の予想通りに利上げを実施した場合、24年4~6月期まで8期連続でマイナス成長が続くとの見通しを示した。
ハント財務相は17日に中期財政計画を発表する予定だが、生活費高騰の危機をこれ以上悪化させずに財政を持続可能な軌道に乗せる必要があり、GDP速報値の発表後、「極めて難しい決断」が必要との認識を示した。