欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2022/11/21

西欧

独がガスプロム元子会社を国有化、天然ガスの国内安定供給確保に向け

この記事の要約

ドイツ経済省は14日、露天然ガス大手ガスプロムの元子会社である独SEFE(旧社名ガスプロム・ゲルマニア=GPG)を国有化すると発表した。天然ガスの国内安定供給を確保するための措置で、法律の規定に基づき減資と増資の手続きを […]

ドイツ経済省は14日、露天然ガス大手ガスプロムの元子会社である独SEFE(旧社名ガスプロム・ゲルマニア=GPG)を国有化すると発表した。天然ガスの国内安定供給を確保するための措置で、法律の規定に基づき減資と増資の手続きを実施する。

政府は4月初旬、GPGを信託管理下に置いた。ガスプロムがGPGを無許可で売却したうえ、売却先のロシア企業(実態不明)がGPGの清算を命じていたことが判明したためで、エネルギーの安定供給を確保するためにGPGの管理を連邦ネットワーク庁に委託した。

ロシア政府はこれを受けて5月、GPGに制裁を科した。この結果、GPGはロシア産天然ガスの供給を受けられなくなり、調達先国を変更しなければならなくなった。だが、ガスのスポット価格が高騰していることから資金繰りが悪化。同社が経営破たんするとドイツ国内のガス供給に悪影響が出ることから、政府は国有化方針を決定した。欧州連合(EU)欧州委員会の承認がこのほど得られたことから実施する。

国有化に向けてはまず、100%の減資を行う。これにより、ガスプロムからGPGを買収したロシア企業はSEFEへの出資者としての権利を喪失する。このロシア企業に対して政府は時価ベースで補償を行う。減資と同時に増資を行い、国は2億2,559万5,000ユーロを出資し、SEFEを完全傘下に収める。

国は政策金融機関KfWを通じて、SEFEに対しこれまでに118億ユーロの融資を行った。融資額は今後138億ユーロに引き上げる。この融資全額を年末までにSEFEの自己資本へと改め、財務を安定させる。資金は国の経済安定化基金(WSF)が市場調達する資金(最大2,000億ユーロ)で賄う。