欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/11/10

総合 – 欧州経済ニュース

ECBが金利据え置き、総裁は量的緩和を示唆

この記事の要約

欧州中央銀行(ECB)は4日に開いた定例政策理事会で、ユーロ圏18カ国に適用される最重要政策金利を現行の0.05%に据え置くことを決めた。一方、ドラギ総裁は理事会後の記者会見で、デフレと景気悪化の懸念に対応するため、必要 […]

欧州中央銀行(ECB)は4日に開いた定例政策理事会で、ユーロ圏18カ国に適用される最重要政策金利を現行の0.05%に据え置くことを決めた。一方、ドラギ総裁は理事会後の記者会見で、デフレと景気悪化の懸念に対応するため、必要に応じて「非常的措置」を講じることで理事会は一致していると述べ、ユーロ圏内の銀行が保有する国債などを買い取る量的金融緩和に踏み切る用意があることを示唆。これを受けて同日の市場ではユーロ安が進み、ユーロ圏の株価は上昇した。

ECBはユーロ圏の低インフレ、景気減速を受けて、6、9月に追加利下げを実施。さらに、新たな長期資金供給オペ(LTRO)を9月に開始し、同月には資産担保証券(ABS)、担保付き債券(カバードボンド)の買い入れも決めた。しかし、効果は薄く、依然としてデフレ懸念がくすぶっている。このため、日米のような本格的な量的緩和の実施を求める圧力が強まっている。

量的緩和をめぐっては、ECB内でドラギ総裁が前向きなのに対して、ドイツなどの理事が強硬に反対し、理事会が割れていると報じられていた。しかし、ドラギ総裁は記者会見で「低インフレが長期化する場合、追加で非常的措置を講じることで、理事会は全会一致している」とコメント。ECBの担当スタッフに追加措置実施に向けた準備を指示したことを明らかにした。

市場ではドラギ総裁の発言を受けて、ECBが来年初めにも量的緩和に踏み切るとの観測が強まってきた。ただ、理事会内で本当に意見がまとまっているかに関しては疑心暗鬼な向きが多く、当初は社債の購入にとどめ、国債買い入れは見送るとの見方も出ている。