欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/11/10

総合 – 欧州経済ニュース

英のEU予算追加拠出、来年9月までの支払期限延長で合意

この記事の要約

EUは7日の財務相理事会で、英国などがEU予算への追加拠出を求められている問題について協議し、当初12月1日だった支払期限を来年9月1日とすることで合意した。支払期限の延長には関連法を修正する必要があるため、欧州委員会が […]

EUは7日の財務相理事会で、英国などがEU予算への追加拠出を求められている問題について協議し、当初12月1日だった支払期限を来年9月1日とすることで合意した。支払期限の延長には関連法を修正する必要があるため、欧州委員会が法的手続きを進めて加盟国に正式承認を求める。

EUでは景気動向などに応じて加盟国の拠出額を見直している。ユーロ圏各国の景気が低迷するなか、英経済は主要国の中で最も好調だったため、欧州委は先月、英政府に14年予算の拠出額を21億ユーロ上積みするよう求めた。しかし、キャメロン英首相はこれに猛反発し、期限までに追加拠出に応じない方針を示すと共に、同問題を協議するEU臨時財務相会合の開催を要請していた。

オズボーン英財務相は理事会の終了後、「(追加拠出の)請求額を半分に減らし、金利を支払う必要もなく、支払い期限も延長するとの合意を取り付けた」と説明。さらに欧州委員会のゲオルギエワ副委員長(予算担当)は「英国はEU予算への拠出に対する払い戻し(リベート)を受け取ることになる」と述べ、この払い戻しと相殺することで、実際の追加拠出は低く抑えられるとの見方を示した。リベート制度は拠出額に対して農業補助金などの受給額が少ない英国の負担超過を是正するため、サッチャー政権下の1984年に導入された特例措置。英政府高官はリベート分を差し引いた最終的な追加拠出は10億ユーロ程度になるとの見通しを示し、来年7月と9月の2回に分けて支払うことになると付け加えた。

英国は来年5月に総選挙を控えており、英政府にとっては追加拠出の金額よりも支払期限が最大の焦点だった。英紙フィナンシャル・タイムズなどによると、オズボーン財務相は金額については問題にせず、仏サパン財務相との水面下の交渉では支払期限を総選挙後に延長する方向で調整が進められた。フランスは景気悪化のため英国とは逆に拠出金が10億ユーロ程度減額される見通しで、サパン財務相は当初、支払期限の延長は認められないとする欧州委の主張に同調していた。

なお、英国と同様、算出方法の見直しで6億4,300万ユーロの追加拠出を求められているオランダに関しても、支払期限の延長が認められる。