欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/11/10

総合 – 欧州経済ニュース

EU予算で70億ユーロが「不適切な支出」、欧州会計監査院の年次報告

この記事の要約

欧州会計監査院(ECA)は5日、2013年のEU予算の執行状況に関する報告書を公表した。ECAは総額1,485億ユーロの予算のうち、4.7%に当たる約70億ユーロが「不適切な支出」だったと指摘。とくに地域政策や農村開発の […]

欧州会計監査院(ECA)は5日、2013年のEU予算の執行状況に関する報告書を公表した。ECAは総額1,485億ユーロの予算のうち、4.7%に当たる約70億ユーロが「不適切な支出」だったと指摘。とくに地域政策や農村開発の分野で予算運営に大きな問題があったとしている。

不適切な支出には、要件を満たしていないプロジェクトへの補助金交付や、本来は認められない物品やサービスの購入費用などが含まれる。報告書によると、こうした支出がEU予算全体に占める割合は前年の4.8%に比べてわずかながら縮小したものの、ECAが許容範囲とする2%の上限を依然として大幅に上回っている。

分野別では地域間格差の是正を目的とする地域構造政策の予算431億ユーロのうち6.9%、農村開発に配分された137億ユーロのうち6.7%が不適切な支出と認定された。このほか農業分野でも、450億ユーロの予算のうち3.6%が支給要件を満たしていない補助金などに充てられた。

不適切な支出の具体例としては、たとえば伊サルデーニャ島の農家に対し、環境に悪影響を及ぼす化学物質を含んだ植物保護剤を使用しない見返りとして補償金が支払われたにもかかわらず、実際には10回以上にわたって有害な保護剤が散布されていた。また、スペインでは国境監視の名目でヘリコプター4機が購入されたが、本来の目的での飛行回数は全体の25%にすぎなかった。

ECAのカルデイラ委員長は監査結果について、加盟国がEU予算の約8割について管理責任を負う点に言及。「適正な予算執行を通じてEU市民が期待する結果をもたらすため、加盟国は配分された予算の運営・管理により一層の注意を払う必要がある」と指摘した。