11月のユーロ圏インフレ率10%、1年5カ月ぶりに鈍化

EU統計局ユーロスタットが11月30日に発表したユーロ圏の同月のインフレ率(速報値)は前年同月比10.0%となり、前月の10.6%から0.6ポイント縮小した。インフレ率の鈍化は21年6月以来、1年5カ月ぶり。なお高水準にあるものの、欧州中央銀行(ECB)が利上げのペースを緩めるとの見方が出ている。(表参照)

上げ幅の縮小は、物価高の最大の要因となっているエネルギー価格の上昇率が、前月の41.5%を大きく下回る34.9%に縮小したのが大きい。工業製品は横ばいの6.1%、サービスは0.1%低下の4.2%だった。ECBが金融政策で重視する基礎インフレ率(価格変動が激しいエネルギー、食品・アルコール・たばこを除いたインフレ率)は、前月と同水準の5.0%。

ユーロ圏19カ国のうち14カ国でインフレ率が下がった。主要国はドイツが11.3%、イタリアが12.5%、スペインが6.6%で、それぞれ前月から0.3ポイント、0.1ポイント、0.7ポイントの幅で縮小した。フランスは横ばいの7.1%。

ECBは記録的な物価高に対応するため、7月に11年ぶりの利上げを実施。9、10月には通常の3倍となる0.75ポイントの大幅利上げに踏み切った。11月はインフレ率が鈍化に転じたものの、依然としてECBが目標水準とする2.0%を大きく上回っており、今後も高水準が続く見通しであることから、12月15日に開く定例政策理事会で追加利上げを決めるのは確実な情勢だ。

ただ、物価上昇がピークを過ぎたとの見方が広がっており、市場ではECBが景気悪化も考慮して利上げ幅を0.5ポイントにとどめるとの観測が出ている。

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