欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/11/10

総合 – 欧州経済ニュース

ボスニアはEU加盟に向け改革推進を、英独が共同提案

この記事の要約

英国とドイツは5日、ボスニア・ヘルツェゴビナのEU加盟に関する共同イニシアチブを発表し、EU加盟の実現に向けて政治・経済の構造改革を加速させるよう求めた。 ボスニア・ヘルツェゴビナは2008年6月にEUとの間でEU加盟の […]

英国とドイツは5日、ボスニア・ヘルツェゴビナのEU加盟に関する共同イニシアチブを発表し、EU加盟の実現に向けて政治・経済の構造改革を加速させるよう求めた。

ボスニア・ヘルツェゴビナは2008年6月にEUとの間でEU加盟の前段階である安定化・連合協定(SAA)に署名したが、SAAの履行は順調とはいえない。先月実施された総選挙では民族の利益を重視する「民族派」が躍進。民族派の勢力拡大により国内融和や改革が困難になり、EU加盟がますます遠のくとの観測も出ている。

ベルリンで開催された南東欧外相会議に出席した英国のハモンド、ドイツのシュタインマイヤー両外相は会議後に公開書簡を発表し、「我々はボスニアがEUに加盟することを望んでいる」「EUに加盟する唯一の道はボスニア・ヘルツェゴビナがEU加盟国のガバナンスと経済発展の水準に到達させる改革を実施することだ」と強調。ボスニア・ヘルツェゴビナがEU加盟に向け政治・経済改革を推進することを書面で確約する見返りに、EUはSAAを発効させて同国が財政支援を受けやすくし、EU加盟に近づけるよう後押しすることを提案した。また、同国が抱える少数民族の人権問題については、当面は改革を優先させるべきであり、解決を先送りするのが妥当だとの認識を示した。欧州人権裁判所は2009年、ボスニア・ヘルツェゴビナの憲法が少数民族の人権に違反していると認定。是正を求める判決を下したが、同国は応じていない。

今回の英独の共同イニシアチブに関し、ラグムジヤ外相は「ボスニアにとって新たなチャンスだ」と歓迎する意向を示し、「イニシアチブに基づいて可能な限り速やかに新政権を発足させ改革課題に取り組むことを願っている」と語った。