欧州委員会は6日、ドイツ銀行とオランダのラボバンクに対して、国債取引をめぐるカルテルを結んでいた疑いがあるとして、両行に異議告知書を送付したと発表した。異議告知書の送付は競争法違反に対する是正手続きの第1段階。欧州委が最終的に違法と認定した場合、各行は世界全体の売上高の最大10%に相当する制裁金の支払いを命じられる可能性がある。
欧州委によると、両行には2005年から16年にかけて、ユーロ圏各国の中央銀行が発行するユーロ建て国債やSSA債(国際機関債やソブリン債、政府系機関債など)、担保付き債券(カバードボンド)などの取引で談合していた。トレーダーが電子メールやチャットルームを使って情報を交換し、流通市場での取引について価格や取引戦略を調整した疑いがある。
ドイツ銀行は声明で、同行が欧州委の調査に協力したため、制裁を全額免除されるとの見通しを表明。カルテルがあったことを事実上認めると同時に、同行がカルテルを欧州委に通報したことを示唆している。ラボバンクは調査に協力しているとコメントするにとどまった。
EUでは債券取引のカルテルで、欧州委が21年4月にバンク・オブ・アメリカ、クレディ・スイス、仏クレディ・アグリコルに総額2,849万ユーロの制裁金を科すと発表。ドイツ銀行もカルテルに加わっていたが、通報して摘発に協力したため制裁を免除された経緯がある。
また、同年には野村ホールディングスなど7社が総額3億7,100万ユーロの制裁金を科された。