EU加盟国は13日に開いた内務相理事会で、新型コロナウイルス対策の渡航制限を全廃するよう各加盟国に促す勧告を採択した。感染状況が悪化した場合には各国の判断で制限措置を導入できるが、コロナとの共生が一層進むことになる。
今回の勧告は、EU域外からの渡航と域内での移動が対象。すでにEUでは多くの国が渡航制限を撤廃しているが、足並みをそろえて旅行者を無制限で受け入れる体制を築く。
ただ、各国は域外の第三国からの渡航に関して、新型コロナ感染が深刻化した場合は出発前のワクチン接種義務化、到着時の感染検査、隔離などの措置を求めることができる。
第三国で新たな変異ウイルスによる感染が広がった場合には、緊急の渡航制限措置を導入することも可能だ。
EU域内での移動では、感染状況が悪化した場合も、旅行者に新型コロナワクチンの接種などを証明する「EUデジタルCOVID証明書」の提示を求める以外の措置を避けるよう勧告している。新たな変異ウイルスの懸念が浮上すれば、証明書を持つ人であっても隔離、検査を求めることができる。
EUは欧州で新型コロナ感染が深刻化した20年3月、不要不急の渡航を制限した。しかし、徐々に緩和を進め、2月には域外から域内への渡航制限措置を緩和し、観光客など不要不急の渡航者について世界保健機関(WHO)が承認しているワクチンを接種すれば入域できるようにすることなどを決めていた。