欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2023/1/9

EU情報

リース契約輸入車も商用EV向け税額控除の対象に、欧州委が米新指針を歓迎

この記事の要約

米財務省は12月29日、2022年8月に成立した「インフレ抑制法」に盛り込まれた電気自動車(EV)購入優遇策の運用に関する新たな指針を発表し、リース契約で提供される車両については輸入車も商用EV向け税額控除の対象とする方 […]

米財務省は12月29日、2022年8月に成立した「インフレ抑制法」に盛り込まれた電気自動車(EV)購入優遇策の運用に関する新たな指針を発表し、リース契約で提供される車両については輸入車も商用EV向け税額控除の対象とする方針を明らかにした。これにより、北米以外で組み立てられたEVも、1台当たり最大7,500ドルの税控除を受けられるようになる。欧州委員会は新たな指針がEUと米国の双方に利益をもたらすと歓迎している。

米国のEV優遇策は減税でEVの普及促進を図りながら、中国製品のシェア拡大を阻む狙いがある。ただ、EV減税の対象となる新車について、北米地域での最終組み立てを要件とするほか、EV用電池の原材料である重要鉱物の調達先を米国、および米国と自由貿易協定(FTA)を結んでいる国に事実上制限しているため、EUなどは世界貿易機関(WTO)協定違反の可能性があるとして見直しを求めていた。

欧州委は声明で「新指針に基づき、EU企業は確立された、または予見されるビジネスモデルを変更することなく、商用EV向け税優遇制度を活用することができるようになる。これは気候変動対策という共通の目標におけるEU米間の協力関係を強化するとともに、大西洋をまたぐサプライチェーンの拡充につながるもので、双方にとってメリットがある。米国の納税者はEUメーカーの高性能EVを利用しやすくなり、リース契約を通じて最先端のクリーンカーを提供するEUメーカーは税優遇措置の恩恵を受けることができる」と強調した。

ただ、個人によるEV購入については依然として北米での最終組み立てが税額控除の適用要件となっている。このため欧州委はこうした「差別的な条項」の排除に向け、EUと米国が10月に立ち上げたタスクフォースで協議を継続する意向を示している。