欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/4/28

EUその他

自動車代替燃料に関する法案可決、補給設備の規格統一で普及促進

この記事の要約

欧州議会は15日の本会議で、温室効果ガス排出量の少ないクリーンな代替燃料で走行する自動車の普及促進に向けた新たな法案を賛成多数で可決した。電気、水素、天然ガスといった代替燃料補給設備の規格を域内で統一することや、加盟国に […]

欧州議会は15日の本会議で、温室効果ガス排出量の少ないクリーンな代替燃料で走行する自動車の普及促進に向けた新たな法案を賛成多数で可決した。電気、水素、天然ガスといった代替燃料補給設備の規格を域内で統一することや、加盟国にインフラ整備に関する目標の設定を義務付けることなどが法案の柱。EU閣僚理事会の正式な承認を経て新ルールが導入される。

EUは2020年までに◇域内の温室効果ガス排出量を90年比で20%削減する◇エネルギー消費に占める再生可能エネルギーの利用比率を20%まで引き上げる◇エネルギー効率を20%改善する――という3つの目標を掲げている。目標達成に向けてさまざまな取り組みが進められるなか、輸送部門では電気、水素、天然ガスといった代替燃料で走行する自動車に注目が集まっているが、こうした自動車は価格が高く、燃料の補給設備や充電スタンドが少ないことが普及を妨げる障害になっている。欧州委員会はこうした現状を踏まえ、昨年1月に輸送用代替燃料の利用促進に向けた具体策を盛り込んだ「クリーン燃料戦略」を打ち出し、欧州議会とEU加盟国で検討が進められていた。

法案によると、水素や天然ガスなどの補給設備の規格が域内で統一されるほか、電気自動車の充電プラグも共通化され、域内のどこにいても充電が可能になる。また、電気自動車のワイヤレス充電や燃料電池車のバッテリー交換技術についても標準化が進められる。一方、加盟国は充電スタンドの設置をはじめとする代替燃料のインフラ整備について最低目標を設定し、実施計画を策定して欧州委に報告することが義務付けられる。欧州委は国別の目標をチェックし、EUレベルで拘束力のある目標を設定する必要があるかどうかを判断する。