欧州銀行監督機構(EBA)が19日発表した金融部門の報酬に関する報告書によると、2021年にEU域内の銀行と投資会社の従業員1,957人が100万ユーロ(約1億4,000万円)以上の報酬(賞与を含む)を受け取った。「高額所得者」の数は前年の1,383人から41.5%増となり、EBAがデータ収集を開始した2010年以降で過去最多となった。
EBAは域内で高額報酬のバンカーが急増した背景について、投資銀行部門や有価証券の売買を取り扱うセールス・トレーディング部門の業績が全体として好調だったほか、英国のEU離脱に伴い、英国からEU域内へのスタッフの異動が続いていること、給与水準が全体的に上昇傾向にあることを主な要因として挙げている。
報酬額が100万ユーロ超のバンカーを国別にみると、イタリア、フランス、スペインが前年からの増加分の70%を占めたものの、ドイツが約600人と、引き続き加盟国の中で最多となっている。21年に金融セクターで最も報酬額が高かったのは、1,400万~1,500万ユーロを得たスペインのバンカーだった。
一方、固定給に対する変動報酬(ボーナスや各種手当など)の比率は、20年の平均86.4%から21年は100.6%に上昇した。変動報酬は個々の金融機関や事業部門、バンカー個人の業績と直接連動しているため、良好な財務状況が賞与の増額につながった。