EU加盟国は27日に開いた大使級会合で、ロシア産石油製品に対する上限価格の設定について協議したが、合意に至らなかった。加盟国は30日以降も協議を継続し、早期の合意形成を目指す。
EUは主要7カ国(G7)およびオーストラリアと共に、昨年12月5日付でロシア産原油の上限価格を1バレル当たり60ドルとする措置を導入した。ウクライナへの侵略を続けるロシアの戦費調達を妨げる狙いで、石油製品についても上限価格を設定し、2月5日から適用を開始する方針を決定している。
ロイター通信がEU当局者の話として報じたところによると、欧州委員会は石油製品を原油価格より高値で取引されるディーゼル油などと、通常は割引価格で販売される燃料油などの2種類に分類し、前者の上限価格を1バレル当たり100ドル、後者を45ドルとする案をまとめ、26日までに加盟国に提示した。大使級会合では欧州委の提案について協議したが、結論は出なかった。
欧州委が提示した上限案について、市場ではロシアがディーゼル油などの「輸出を継続するのに十分な水準」(JPモルガンのアナリスト)との見方がある一方、ロシア産原油はEUなどによる禁輸と上限価格の導入で取引価格が大幅に下落しているため、アジアなどの大手バイヤーは原油を安値で購入して自ら精製した方が得策と判断する可能性があり、ロシアは「買い手を探すのが難しくなる」(サクソバンクのアナリスト)といった指摘もある。インターコンチネンタル取引所の欧州ディーゼル先物は26日、1バレル約130ドルで取引を終えた。