ウクライナに5億ユーロの追加軍事支援、対イラン追加制裁も決定=外相理

EUは23日の外相理事会で、ロシアからの軍事侵攻が続くウクライナに対し、新たに5億ユーロ(約710億円)の軍事支援を行うことで合意した。また、ウクライナ軍の訓練のため、別途4,500万ユーロを拠出することでも合意した。

EUによるウクライナ支援は2022年2月末の侵攻開始以降、今回が7回目。EU共通外交・安全保障政策の下で、軍事・防衛分野の対外活動の資金源となる基金「欧州平和ファシリティ(EPF)」から拠出する。ボレル外務・安全保障政策上級代表によると、同基金からの支援総額はこれで約36億ユーロとなる。

ボレル氏は会議後の記者会見で「ウクライナはこの戦争に勝利しなければならない。われわれは可能な限り、最善の方法で支援する」と強調。EU議長国を務めるスウェーデンはツイッターに「ウクライナに対するEUの支援は揺るぎない」と投稿した。

一方、外相理では反政府デモに対する弾圧姿勢を続けるイランに追加制裁を科すことで合意した。女性の髪の毛を隠す「ヒジャブ」をめぐる抗議デモへの弾圧に関与した個人18人と19団体を制裁リストに加え、EU内の資産を凍結するとともに、域内への渡航を禁止する。

新たな制裁対象には政府高官や議会幹部、メディア関係者などが含まれているもよう。欧州議会はデモ弾圧を主導するイスラム革命防衛隊をテロ組織に指定するよう求めていたが、ボレル氏は記者団に対し、「単に好ましくないという理由でテロリストとみなすことはできない。それには裁判所の決定が不可欠だ」と発言。テロ組織に指定するには司法の判断が必要だとの考えを示した。

EU議長国スウェーデンは「平和的なデモ参加者に対するイラン当局の残忍な武力行使を強く非難する」とツイート。不当に高速された人々を速やかに開放するよう求めた。

ドイツが主力戦車の供与決定

ウクライナへの軍事支援をめぐっては、ドイツが主力戦車「レオパルト2」の供与に慎重な姿勢を続けていたが、独政府は25日、自国が保有する14両の提供を決定するとともに、他国が保有する同戦車の供与も承認すると発表した。ポーランドやフィンランドは早い段階から供与の意向を表明していたが、実際に供与するには製造国であるドイツの承認が必要で、ショルツ政権の判断に注目が集まっていた。ドイツは自国内でウクライナ兵の訓練を早急に開始する方針も表明した。弾薬などの提供についても準備を進める。

ドイツの決定を受け、ノルウェーやスペイン、ポルトガルも供与の方向で検討に入った。レオパルト2は欧州13カ国が計2,000両ほど保有しているとされる。1~2カ月ほどの訓練期間を経て、春には100両程度が前線に投入される見通しだ。

また、バイデン米大統領も25日、主力戦車「M1エイブラムス」31両をウクライナに供与すると発表した。戦車は新たに調達する必要があるため、実際に投入されるのは数カ月後になる見通しで、その間はウクライナ兵への訓練を行うと説明している。

上部へスクロール