伊通信最大手テレコムイタリアは2日、米大手投資ファンドのKKRから固定通信網を買収する提案を受けたと発表した。24日に開く取締役会で買収に応じるかどうかを決める。
買収案の詳細は不明だが、KKRは固定通信網部門の過半数株式の取得を提案している。テレコムイタリアによると、KKRは買収後に固定通信網を管理する新会社を設立する計画。海底ケーブル部門スパークルの株式取得も予定している。消息筋がロイター通信に明らかにしたところによると、買収額は200億ユーロを超える。
テレコムイタリアのピエトロ・ラブリオーラ最高経営責任者(CEO)は、固定通信網の維持に巨額の投資が必要となり、同社の債務が膨らむことから、同部門を切り離すことを検討していた。これに対して、大株主の伊政府系金融機関である預託貸付公庫(CDP)が通信網買収に動いたが、同じく大株主の仏メディア・通信大手ビベンディが価格を不満として反対に回り、棚上げ状態にある。
KKRはラストワンマイルと呼ばれる家庭と最寄りの基地局を結ぶ通信網を運営するテレコムイタリア子会社の株式37.5%を保有している。テレコムイタリアにとっては、買収に応じることで255億ユーロに上る債務を削減できるが、伊政府が国家の重要インフラが海外ファンドの手に渡ることに反発し、拒否権を発動する可能性がある。
テレコムイタリアを巡っては、KKRが2021年に債務引き受けを含めて330億ユーロで丸ごと買収することを提案したが、ビベンディが価値を過小評価しているとして反対し、実現に至らなかった経緯がある。