スイス金融大手クレディ・スイス・グループは9日に発表した2022年12月期通期決算で、72億9,300万スイスフラン(約1兆400億円)の純損失を計上し、赤字が08年の世界金融危機以来の高水準に膨らんだ。不祥事と業績低迷で、多額の預かり資産が流出したことが響いた。
赤字は2年連続。赤字幅は前期の16億5,000万スイスフランを大きく上回った。総収入は34%減の149億2,100万スイスフランだった。
クレディ・スイスは22年、米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントが債務不履行に陥り巨額の損失を被ったほか、企業間取引で生じる売掛債権を電子記録債権化して支払いを代行する「サプライチェーンファイナンス(SCF)」を手掛ける英グリーンシル・キャピタルの破綻でファンドの閉鎖に追い込まれるなど不祥事が相次いだ。
これを受けて投資銀行、富裕層向け資産運用部門で多額の資金が流出。収入は投資銀行部門で55%(米ドル換算)、資産運用部門で同30%の幅で減った。
クレディ・スイスは22年10月、厳しい状況を打開するため、大規模な再建計画を発表。人員削減と40億スイスフランの増資に加え、証券化商品部門の大半を米投資ファンドのアポロ・グローバル・マネジメントとパシフィック・インベストメント・マネジメントに売却する方針を打ち出した。投資銀行部門を分離し、「CSファーストボストン」として事業を展開することも決めた。増資は12月に完了した。