加盟国と欧州議会、海運の温効ガス排出削減規則で合意

EU加盟国と欧州議会は23日、海運分野の温室効果ガス(GHG)排出削減に向けた規則案で合意した。大型船舶を対象に、排出量を2050年までに80%減らすことを求める。加盟国と欧州議会の最終承認を経て新規則が施行される。

同合意によると、総トン数が5,000トンを超える大型船舶に対して、GHG排出量を25年までに2%、30年までに6%、35年までに14.5%、40年までに31%、45年までに62%減らし、50年には削減率80%を達成することを求める。クリーンエネルギーの利用を促す形で達成を目指す。34年までに燃料の2%以上を再生可能燃料にするという目標も設定した。

海運分野の排出削減は、EUが50年のカーボンニュートラル(気候中立)実現に向け、30年までにEU域内のGHG排出量を1990年比で55%削減するという目標を達成するための政策パッケージ「Fit for 55」の一環。今回の合意には、EUの主要港に停泊中のコンテナ船、客船に対して、30年までに陸上から供給される電力だけを動力源とすることを義務付けることも決まった。35年には域内の全港湾に同ルールを適用する。

欧州委員会によると、2021年にEU域内で排出された二酸化炭素(CO2)の3~4%が海運分野によるものだった。

EUはカーボンニュートラル実現には海運の排出削減が重要な役割を果たすとして対応を進めており、22年12月にはEU排出量取引制度(EU-ETS)の適用対象に海運を加えることで合意していた。

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