スイス金融大手クレディ・スイスが英金融会社グリーンシル・キャピタルの経営破綻を巡り、4億4,000万ドル(約600億円)の損害賠償を求めてソフトバンクグループ(SBG)を英高等法院に提訴したことが19日、分かった。SBGはクレディ・スイスの訴えに根拠はないと反論し、徹底的に争う構えを示している。
グリーンシルは企業間取引で生じる売掛債権を電子記録債権化して支払いを代行するサプライチェーンファイナンス(SCF)を専門とし、クレディ・スイスはSCF専門の投資ファンドを運用していた。グリーンシルの破綻でファンドは閉鎖に追い込まれ、投資したクレディ・スイスの顧客は数億ドルの損失を被った。
問題となっているのは、グリーンシルの融資を通じて米カリフォルニア州の建設会社カテラに渡ったクレディ・スイスの顧客資金。カテラは2021年に破産申請したが、同社とグリーンシルの双方にSBG傘下のビジョンファンドが出資していた。
SBGは20年後半にグリーンシルに対して緊急の資金注入を行ったが、経営不振に陥ったカテラの負債をカバーするために使われ、クレディ・スイスが運用するファンドの投資先には資金が回らなかった。クレディ・スイス側はカテラの債務再編を主導したSBGは、クレディの顧客資産が実質的に回収できなくなることを把握していたと主張している。
SBGは声明で、クレディ・スイスは「2年以上にわたり、投資判断を誤った自らの責任を転嫁しようとしてきた」と強く非難し、「訴えにまったく根拠はない」と反論。法廷で争う構えを示した。