欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2023/5/2

EU情報

ユーロ圏の1~3月期GDPは0.1%増 、景気後退回避も低成長に

この記事の要約

EU統計局ユーロスタットが4月28日に発表した2023年1~3月期のユーロ圏20カ国の域内総生産(GDP、速報値)は、実質ベースで前期比0.1%増だった。前期の0.1%減(1月にユーロ圏入りしたクロアチアを除く19か国ベ […]

EU統計局ユーロスタットが4月28日に発表した2023年1~3月期のユーロ圏20カ国の域内総生産(GDP、速報値)は、実質ベースで前期比0.1%増だった。前期の0.1%減(1月にユーロ圏入りしたクロアチアを除く19か国ベース)から改善したものの、成長率は市場予測の0.2%を下回った。ドイツが横ばいにとどまったことが響いた。(表参照)

成長率はこれまでに同期のGDP統計がまとまったEU12カ国のデータに基づいて算出された。ユーロ圏の前年同期比の成長率は1.3%で、前期の1.8%から鈍化。EU全体では前期比が0.3%で、前期のマイナス0.1%から復調したが、前年同期比では前期の1.7%を下回る1.3%となった。

国別の前期比の成長率は、ポルトガルの1.6%が最高。最低はアイルランドのマイナス2.7%だった。主要国はドイツがゼロ%となり、前期のマイナス0.5%から改善した。設備投資と輸出の拡大に支えられた。しかし、個人消費と政府最終消費支出が減り、市場予測の0.2%増に対してゼロ成長にとどまった。一方、フランスは0.2%増、イタリアとスペインも0.5%で、いずれも前期から改善した。

ユーロ圏経済については、当初はエネルギー高の影響などで1~3月期にマイナス成長に落ち込むとの見方があった。暖冬の影響でエネルギー価格の高騰が抑えられたほか、中国のゼロコロナ政策が終了し、同国への輸出が増えたことなどで、小幅ながらプラス成長を記録した。

ただ、インフレ率は依然として高水準にあり、食品価格の高騰、欧州中央銀行(ECB)による金融引き締めも景気を圧迫している。こうした状況は当面続く見通しで、23年は4~6期以降も低成長となるのは避けられないと目されている。

ECBは記録的な物価高に対応するため、2022年7月から23年3月にかけて6会合連続で政策金利を引き上げた。1~3月期が低成長となったため、今後は難しい判断を迫られるが、アナリストらはインフレ対策を優先し、5月4日に開く次回の定例政策理事会で追加利上げを実施するとの見方で一致。上げ幅に関しては、前回と同じ0.5ポイントとするか、0.25ポイントに抑えるか、見解が分かれている。