イタリアのデータ保護当局は4月28日、対話型の人工知能(AI)「ChatGPT(チャットGPT)」の使用禁止を解除したと発表した。チャットGPTを運営する米新興企業オープンAIが提示した改善策を検討した結果、一連の措置により、個人データの扱いをめぐる懸念が解消されると判断した。
イタリア当局は3月末、膨大な個人データの収集・保存を正当化する法的根拠がないため関連法に違反する可能性があるとして、チャットGPTの国内での使用を一時的に禁止した。4月12日にはオープンAIに対し、4月末までに個人情報保護のための具体的な対策を講じるよう指示したと発表。当局が求める要件を満たし、個人データの扱いをめぐる懸念が払拭されれば、禁止措置を解除すると説明していた。
オープンAIはこれを受け、チャットGPTのサービスに必要な個人データの種類と収集・処理方法をホームページで公開。また、厳格な年齢確認システムを導入し、13歳未満の子どもがサービスを利用できないようにしたり、チャット履歴を削除する機能を追加するなどの改善策を講じた。
イタリア当局はオープンAIの対応について、「個人の権利を尊重しながら、技術の進歩を促すための取り組みを評価し、同社が欧州のデータ保護ルールを順守する努力を継続することを期待する」とコメント。改善策を受け入れて利用再開を認めたうえで、今後も調査を続ける方針を示している。
チャットGPTをめぐっては、EU加盟国のデータ保護当局で構成する欧州データ保護会議(EDPB)が4月13日、個人データの取り扱いなどに関する問題を検証し、対応を協議するため専用の作業部会を設置すると発表した。生成AIによるプライバシーや著作権侵害などの懸念について、EUの共通政策に向けた議論が本格化する可能性がある。