台湾の輝能科技、EV向け電池の大型工場を仏に開設

全固体電池の開発を手がける台湾の輝能科技(プロロジウム・テクノロジー)は11日、仏北部のダンケルクに電気自動車(EV)向け電池の大型工場を開設すると発表した。52億ユーロを投じて工場を建設する。同社が海外に生産拠点を置くのは初となる。

輝能科技はEVで主流となっているリチウムイオン電池と比べて発火リスクが小さいなど安全性が高く、しかも超急速充電が可能で長寿命といった利点がある全固体電池を生産するベンチャー企業。仏工場は2026年末に稼働の予定で、フル稼働時には数十万台のEVに電池を供給できる。

同社は初の海外拠点開設に際して、13カ国を候補としていた。フランス、ドイツ、オランダが最終候補に残ったが、温室効果ガスを排出しない原子力発電所から電力供給を受けることができ、多くのEV工場が近くにある仏のダンケルクを選んだ。仏マクロン大統領が優遇措置提供を申し出て、積極的に誘致したことも大きかった。優遇措置の詳細は不明。さらに、政府はEUの欧州委員会に公的補助の承認を求めている。

仏北部には3カ所の大型EV用電池工場がある。輝能科技進出によって、欧州のEV用電池の一大生産拠点となる。

一方、マクロン大統領は同日、電池材料を手がける中国の厦?新能源材料(XTCニュー・エナジー・マテリアルズ)が、核燃料サイクルや使用済み電池リサイクル事業などを展開する仏オラノ(旧アレヴァ)と共同で、リチウム、コバルトなど電池材料の工場をダンケルクに建設すると発表した。投資額は15億ユーロに上る。

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