欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/4/28

EUその他

企業年金の持ち運びが可能に、欧州議会が法案可決

この記事の要約

欧州議会は15日、企業年金などの補完的年金の受給権に関する指令案を可決した。国境を越えた転職時に年金を持ち運びできるようにすることで、域内を移動する労働者の権利保護を強化するのが狙い。EU理事会の正式承認を経て発効する。 […]

欧州議会は15日、企業年金などの補完的年金の受給権に関する指令案を可決した。国境を越えた転職時に年金を持ち運びできるようにすることで、域内を移動する労働者の権利保護を強化するのが狙い。EU理事会の正式承認を経て発効する。

EUでは、公的年金については加入期間に応じた各国年金制度からの給付が定められ、域内労働移動が公的年金受給に際して不利にならないよう制度が整備されている。しかし、企業年金についてはそうした規定がないため、国境を越えて働く労働者は転職先の国の年金制度によっては受給権を喪失するリスクを抱えていた。

可決された指令案は、加盟国間の労働移動を対象に、◇受給権を得られるまでの最低加入期間を設ける場合には3年以下とする◇中途退職者の年金受給権は保護され、将来の年金請求に際しては物価スライド等を含め、現役加入者と比較して不利な取り扱いを受けないよう保障する◇労働者は国外への転職が年金権に与える影響についての情報を得る権利がある――などを定めており、国境を越えて働く労働者の年金権の保護を図っている。