欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/11/24

EU産業・貿易

対日EPA交渉でビール市場の開放要求へ、次回会合で非関税障壁の追加リスト提示

この記事の要約

日本とEUが2015年の妥結を目指している経済連携協定(EPA)交渉で、EU側は日本に対する非関税障壁の撤廃要求の一環として、ビール市場の開放を求めている。ロイター通信が入手したEUの内部文書で明らかになった。EU側は日 […]

日本とEUが2015年の妥結を目指している経済連携協定(EPA)交渉で、EU側は日本に対する非関税障壁の撤廃要求の一環として、ビール市場の開放を求めている。ロイター通信が入手したEUの内部文書で明らかになった。EU側は日本の酒税法によって欧州産ビールの多くが「発泡酒」として輸入されている点を問題視しており、12月8日から東京で開催される第8回交渉で、日本側にビールと発泡酒の定義の見直しなどを求めるものとみられる。

日欧EPA交渉は13年4月にスタート。これまでに物品貿易のほか、非関税障壁や政府調達など幅広い分野で協議を行ってきたが、EU内には障壁となっている国内の規制や製品規格などの見直しに向けた日本側の取り組みが不十分との見方がある。EUは次回交渉で日本側に撤廃を求める非関税障壁の追加リストを提示する方針で、欧州委員会と加盟国の間で最終的な調整が進められている。

日本のビール市場は収益ベースで世界3位の規模を誇るが、キリン、アサヒ、サッポロ、サントリーなどの国内メーカーが支配しており、欧州勢はハイネケンなどごく一部のブランドが合弁会社を通じて国内で生産・販売しているにすぎない。EUは欧州産ビールの多くは麦芽含有率が日本の酒税法が定める基準値に満たなかったり、コリアンダーのような原材料を含んでいるなどの理由で発泡酒に分類されながら、ビールと同じ税率が適用されている点を最も問題視。ビールの定義を見直し、欧州産ビールを発泡酒ではなく、ビールとして扱うよう求めている。