欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/4/28

西欧

ノバルティスが事業再編、GSKから抗がん剤事業取得

この記事の要約

スイス製薬大手のノバルティスは22日、大規模な事業再編策として、同業の英グラクソ・スミスクライン(GSK)、米イーライ・リリーと事業売買で合意したと発表した。GSKから抗がん剤事業を取得する代わりに、ワクチン事業の大部分 […]

スイス製薬大手のノバルティスは22日、大規模な事業再編策として、同業の英グラクソ・スミスクライン(GSK)、米イーライ・リリーと事業売買で合意したと発表した。GSKから抗がん剤事業を取得する代わりに、ワクチン事業の大部分を同社に売却。イーライ・リリーには動物薬事業を売却する。

GSKの抗がん剤事業は145億ドルで取得する。さらに、GSKが開発している抗がん剤の臨床試験の成果などに基づき、追加で最大15億ドルを支払うため、買収総額は最大160億ドルに上る。

GSKにはインフルエンザ用ワクチンを除くワクチン事業を71億ドルで売却する。さらにノバルティスとGSKは、それぞれの大衆薬事業を統合する合弁会社を設立することでも合意した。出資比率はGSKが63.5%。合弁会社は売上高が約100億ドルに上り、米ヘルスケア用品大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)に次ぐ世界2位の大衆薬メーカーとなる。

一方、イーライ・リリーはノバルティスの動物薬事業を54億ドルで取得。同部門で世界2位となる。

世界の製薬業界では、主力薬の特許切れによる後発医薬品(ジェネリック)の攻勢、政府の医療支出削減などで経営環境が厳しくなる中、再編の動きが強まっている。20日には最大手の米ファイザーが英アストラゼネカに買収を提案したが、拒否されたと報じられたばかり。ノバルティスは非中核の2事業を手放す代わりに、利益率が高く、スイスのロシュに次ぐ世界2位となっている抗がん剤事業を強化することで、収益拡大を図る。GSKは開発に大きなリスクが伴い、競争力の維持が難しい抗がん剤事業から撤退し、比較的低いコストで安定的な収益を確保できるワクチン、大衆薬事業に集中する。

一方、ノバルティスが24日発表した2014年1~3月期の純利益は前年同期比24%増の29億6,000万ドルだった。売上高は1%増の140億2,000万ドルと伸び悩んだが、輸血検査薬事業をスペインのグリフォルスに売却したことによる特別利益が収益を押し上げた。