欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/12/1

総合 – 欧州経済ニュース

欧州議会、ユンケル欧州委員長の問責決議案否決

この記事の要約

欧州議会は11月27日の本会議で、欧州委員会のユンケル委員長に対する問責決議案を賛成101、反対461の反対多数で否決した。同決議案は、ユンケル欧州委員長がルクセンブルク首相時代に租税回避に関与していたことを問題視する極 […]

欧州議会は11月27日の本会議で、欧州委員会のユンケル委員長に対する問責決議案を賛成101、反対461の反対多数で否決した。同決議案は、ユンケル欧州委員長がルクセンブルク首相時代に租税回避に関与していたことを問題視する極右政党の議員が提出していた。

欧州委は低税率を武器に企業誘致を推進してきたルクセンブルク、アイルランド、オランダの課税措置が違法な国家補助にあたる可能性があるとして、6月から本格調査を進めている。ルクセンブルクの優遇税制をめぐっては、調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が今月初め、同国当局が2002~10年にかけて、世界の大手企業340社以上との間で秘密の取り決めを結んでいたとの調査結果を公表。この間に首相兼財務相を務めていたユンケル氏が企業の課税逃れに加担したとの批判が高まっている。

ユンケル委員長に対する問責決議案を提出したのは反EUを掲げる英国独立党(UKIP)、仏極右政党の国民戦線(FN)、コメディアンから転身したベッペ・グリッロ氏率いる伊第2党の5つ星運動などの所属議員。決議案は「租税回避を助長する政策の責任を負うべき人物が欧州委員長を務める状況を容認することはできない」と強調し、委員長の辞任を求めていた。

UKIPのウルフ議員は決議案が否決されたことを受け、「欧州議会は市民よりもスキャンダルにまみれた欧州委員会委員長を守ることを選んだ」と批判。「ユンケル氏が大企業の友人として行ったことをめぐるスキャンダルは消え去るわけではない」として、引き続き追求していく構えを見せた。