経済協力開発機構(OECD)は11月25日に公表した最新の世界経済見通しで、ユーロ圏の景気回復がもたついていることについて、世界経済の成長の「大きなリスクになっている」と懸念を示し、EUが財政規律を柔軟に運用することなどが必要との見解を示した。
ユーロ圏は債務危機が沈静化したが、景気回復の足取りは重く、2014年7~9月期の域内総生産(GDP)は前期比0.2%増と小幅の成長にとどまった。インフレ率も低水準で推移しており、デフレ懸念がくすぶっている。
OECDは景気浮揚に向けて、各国に単年の財政赤字をGDP比3%以下に抑えることを義務付ける財政規律の緩和が必要と指摘。フランスとイタリアが欧州委員会の意向に反して、2015年度予算案で財政緊縮の緩和を盛り込んだことについて「適切だ」と理解を示した。また、欧州中央銀行(ECB)による量的金融緩和も支持した。
OECDはユーロ圏の予想成長率を2014年が0.8%、15年が1.1%とし、従来の予測から据え置いた。