欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/12/1

EUその他

海運セクターにCO2排出監視義務化、加盟国と欧州議会が合意

この記事の要約

EU加盟国と欧州議会は11月26日、船舶からの温室効果ガス排出削減に向けた規則案の内容で基本合意した。2018年1月から総トン数5,000トン以上の船舶を対象に、二酸化炭素(CO2)排出量のモニタリングを義務付けるという […]

EU加盟国と欧州議会は11月26日、船舶からの温室効果ガス排出削減に向けた規則案の内容で基本合意した。2018年1月から総トン数5,000トン以上の船舶を対象に、二酸化炭素(CO2)排出量のモニタリングを義務付けるという内容。12月に開かれる欧州議会環境委員会と環境相理事会の承認を経て、来春に欧州議会本会議で採決が行われる見通しだ。

国際海事機関(IMO)によると、世界におけるCO2排出量の中で海運業界の占める割合は3%弱だが、このまま何の対策も講じなければ2050年までにこの割合が18%に拡大するとみられている。船舶からの温室効果ガス削減策についてはIMO海洋環境保護委員会で検討が進められているが、関係国の間で意見調整が難航し、国際的な議論が停滞している。

こうした中でEUは09年、国際海運の排出削減策について11年末までにIMOで合意が得られない場合、独自に規制を導入する旨のEU指令を採択。しかし、域外の主要国から地域規制の導入に対して批判的な意見が多く寄せられたため、排出削減に向けたアプローチの第1段階として、船舶の所有者にCO2排出量のモニタリング、報告、検証を義務付けるシステム(MRV制度)の導入を検討していた。

新ルールによると、総トン数5,000トン超の船舶(漁船、原始的構造の木造船、政府機関が所有する非商用目的の船舶などは除く)の所有者は18年1月1日以降、個々の船舶のCO2排出量を1回の航海ごとにモニターし、所定の手順で各国当局への報告と検証作業を行うことが義務付けられる。

一方、欧州委員会は各国から提出されるデータを基に年次報告書を作成し、船舶の大きさやタイプ別にCO2の排出状況やエネルギー効率を分析する。さらにCO2以外の温室効果ガスを含め、海運セクターが気候変動にもたらす影響について2年ごとに評価報告書をまとめる。このほか、国際海運の温室効果ガス削減策について国際的な合意が成立した場合、EU独自のルールを見直すことも規則案に盛り込まれている。