欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/12/15

東欧・ロシア・その他

ハンガリー、原発新設をロシアに委託

この記事の要約

ハンガリー政府は9日、パクシュ原子力発電所に原子炉を新設するプロジェクトをロシア原子力公社(ロスアトム)のエンジニアリング子会社アトムエネルゴプロエクトに発注する契約に調印したと発表した。ウクライナ情勢をめぐりEUとロシ […]

ハンガリー政府は9日、パクシュ原子力発電所に原子炉を新設するプロジェクトをロシア原子力公社(ロスアトム)のエンジニアリング子会社アトムエネルゴプロエクトに発注する契約に調印したと発表した。ウクライナ情勢をめぐりEUとロシアの関係が悪化する中、ハンガリーのロシア寄りの立場を改めて内外に示した形だ。

政府発表によると、契約内容には建設工事に加え、保守業務、核燃料供給、使用済み燃料処理も含まれる。発注規模は125億ユーロで、うち100億ユーロをロシアからの低利融資で賄う。

出力各1,200メガワットの原子炉2基を新設する。2018年に着工し、1基は2025年、もう1基は26年に稼働する予定だ。建設工事の約40%をハンガリー企業が下請け受注する。

今回の契約については、◇入札を実施しなかった◇アトムエネルゴプロエクトが選ばれた理由は15年間、非公開◇国家保安を理由に契約詳細の公開を制限――という秘密主義が批判されている。また、米国などは、ロシア製原子炉の採用で、ハンガリーのロシアに対する依存が高まると強い懸念を示している。ハンガリーは現在でも石油・天然ガスの8割弱をロシアから調達している。

パクシュ原発はブダペストの南方約100キロに位置するハンガリー唯一の原子力発電所だ。1983年に稼働を開始し、ソ連製原子炉4基が稼働する。ハンガリーの電力需要の約4割を供給している。