欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/1/5

EU産業・貿易

カード手数料に上限設定へ、欧州議会と加盟国が合意

この記事の要約

欧州議会の経済・金融委員会(ECON)とEU加盟国の代表は12月17日、クレジットカードやデビットカードによる決済時の手数料に上限を設ける法案の内容で合意した。域内で使用されている幅広いペイメントカードにEU共通の規制を […]

欧州議会の経済・金融委員会(ECON)とEU加盟国の代表は12月17日、クレジットカードやデビットカードによる決済時の手数料に上限を設ける法案の内容で合意した。域内で使用されている幅広いペイメントカードにEU共通の規制を適用して手数料水準を全体として引き下げ、消費者の負担軽減を図るのが法案の狙い。閣僚理事会の承認を経て、欧州議会で採決が行われる。

EU内では年間約100億ユーロの「インターチェンジフィー」と呼ばれる手数料が加盟店側からカード発行会社に支払われており、これが小売価格に転嫁されて消費者の負担増につながっている。また、手数料水準は国によってばらつきが大きく、リテール決済サービス分野における単一市場の実現を妨げる要因になっている。欧州委員会はこうした現状を踏まえ、2013年7月にカード決済にかかる手数料に上限を設ける規制案を発表。加盟国と欧州議会で検討が進められていた。

ECONと加盟国の合意によると、国境を越えたデビットカード使用時の手数料は利用額の最大0.2%に制限される。国内での使用に関しては、新ルール導入から5年間は各カード会社の国内における年間取引額の加重平均の0.2%が手数料の上限に設定される。その後は利用額の0.2%が上限となる。一方、クレジットカード決済にかかる手数料は一律で利用額の3%が上限となる。

規制が適用されるのはフランチャイズ制のもと、カード発行銀行(イシュアー)、加盟店、加盟店の開拓や決済処理を行う銀行(アクワイアラー)、カード会員の4者でスキームを構成する「4パーティー制」を採用しているビザやマスターカードなどの国際ブランド。一方、カード発行から加盟店の開拓まですべて自社で行い、1つの銀行だけが関与する「3パーティー制」をとっているアメリカン・エキスプレスやダイナースなどは対象に含まれない。