欧州委員会は12月19日、米政府が航空機大手ボーイングに不当な公的支援を行っているとして、世界貿易機関(WTO)に提訴したことを明らかにした。EUと米国の航空機メーカーへの公的支援をめぐる通商紛争が一段と激化することになる。
EUと米国は2004年から、エアバスとボーイングの新型機開発に相手側が不当な支援を行っているとして争っている。WTOは2011年から12年にかけて、EUのエアバス支援、米のボーイング支援が協定違反に当たるとの裁定を下し、双方痛み分けとなった経緯がある。
欧州委が新たに問題視しているのは、ボーイングの次期大型旅客機「777X」の開発・製造に対する米政府の税制上の優遇措置。米政府は2040年まで支援を継続する方針を打ち出している。欧州委によると、支援総額は87億ドルで、米政府による民間航空宇宙産業への支援としては史上最大規模となる。