欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/1/5

EUその他

独が乗用車の通行料制度導入へ、政府が法案承認

この記事の要約

ドイツ政府は12月17日の閣議で、乗用車を対象とする道路通行料金制度の導入に向けた法案を了承した。国内外の乗用車を課金対象とする内容で、政府は2016年1月の施行を目指している。法案策定に当たってはEU法との整合性を吟味 […]

ドイツ政府は12月17日の閣議で、乗用車を対象とする道路通行料金制度の導入に向けた法案を了承した。国内外の乗用車を課金対象とする内容で、政府は2016年1月の施行を目指している。法案策定に当たってはEU法との整合性を吟味しており、アレクサンダー・ドブリント交通相(キリスト教社会同盟=CSU=)は公正な内容だと胸を張った。ただ、同法案に対しては11月に就任したヴィオレタ・ブルツ欧州委員(運輸担当)が疑義をはさんでおり、紆余曲折が予想される。

乗用車走行料金はヴィネット方式で徴収する。ヴィネットは料金前払いの道路利用券で、料金は排気量(100ccが課金単位)と排ガス性能(「ユーロ5」「ユーロ6」などと表記される欧州排ガス規制に基づく)および燃料の種類に基づいて課金される。

料金は年22~130ユーロ(電気駆動車とオートバイは免除)で、国外車両については有効期間が10日ないし2カ月のヴィネットも販売する。料金はそれぞれ10ユーロ、22ユーロを予定している。また、国内で登録されている車両については料金が税金(自動車税とインフラ税)で全額相殺されるため、新たな負担が生じない。

これに対して欧州委員会のブルツ委員は先ごろ、◇国内登録車両に料金の相殺を認めるルールは間接的な外国人差別に当たる可能性がある◇小型車では有効期間10日および2カ月のヴィネットの料金負担が不当に重く、これも外国人差別に当たる可能性がある――と指摘。EU市民の平等原則に抵触するとの懸念を示した。ドブリント交通相はEU法に合致しているとの立場を取っており、欧州委員会と今後、協議する考えだ。