欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/1/5

EUその他

欧州裁、自宅以外の監視撮影を例外的に許容

この記事の要約

欧州司法裁判所はこのほど、EUのデータ保護指令のもとでは個人が公共の空間にいる人を撮影するために監視カメラを設置することは原則として認められないが、犯罪行為の防止や告発などに必要な場合など例外的なケースでは許容されるとの […]

欧州司法裁判所はこのほど、EUのデータ保護指令のもとでは個人が公共の空間にいる人を撮影するために監視カメラを設置することは原則として認められないが、犯罪行為の防止や告発などに必要な場合など例外的なケースでは許容されるとの判断を示した。

データ保護指令によると、個人データの取り扱いにはデータ主体の同意が必要とされる。ただ、純粋に個人的な又は家庭内での活動中に行われる個人データの取り扱いについては指令の適用対象とはならない。チェコ人のリネシュ氏は2007年から08年にかけて自宅の窓ガラスが割られるなどの被害を受けたことから監視カメラを設置し、自宅玄関と自宅前の公道、向かいの家の玄関を撮影。映像データを警察に提出した結果、二人の容疑者が特定され起訴された。しかし、容疑者の一人が当時は公道にいたにもかかわらず同意なしに撮影されたことはプライバシーの侵害に当たると主張。チェコのデータ保護当局に申し立てたところ、当局は申し立てを認め、リネシュ氏に罰金の支払いを命じた。これに対してリネシュ氏は監視カメラでの撮影は純粋に個人的な活動にあたると反論し、最高行政裁判所に上訴。同裁判所はこの案件を欧州司法裁に付託していた。

欧州司法裁は、自宅から公共空間を撮影することは純粋に個人的な又は家庭内での活動と捉えることはできないと指摘する一方で、チェコ最高行政裁判所は、自身とその家族の財産、健康および生活を守るというリネシュ氏の「正当な利益」を考慮する必要があるとの認識を示したうえで、「犯罪行為の防止、捜査、告発あるいは権利と自由の保護に必要であると判断された場合には、加盟国はデータ保護指令に定める権利義務の範囲を制限することが認められる」と述べた。