欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/1/5

西欧

スイス中銀がマイナス金利導入、原油安によるフラン買い牽制

この記事の要約

スイス国立銀行(中央銀行)は12月18日、金融機関の預金を受け入れる際の金利をマイナス0.25%にすると発表した。原油安の影響によるロシアの通貨ルーブルの急落などを背景に、安全資産とされるスイスフランを買う動きがさらに加 […]

スイス国立銀行(中央銀行)は12月18日、金融機関の預金を受け入れる際の金利をマイナス0.25%にすると発表した。原油安の影響によるロシアの通貨ルーブルの急落などを背景に、安全資産とされるスイスフランを買う動きがさらに加速するのを防ぐための措置。マイナス金利を導入して対ユーロなどでフラン高が進むのを阻止する。

マイナス金利の対象は1,000万スイスフランを超える預入金で、1月22日から適用される。スイス中銀のヨルダン総裁は会見で、「金融市場における不確実性の急速な高まりを背景に、安全な投資先への資金流入が加速している」と指摘。スイスフランの上昇について「ロシア情勢の悪化が最大の要因だ」と述べた。

スイスフランは日本の円と同様、外国為替市場で比較的安全な資産とみなされている。フラン高は医薬品などの輸出産業や観光業にとって打撃になるうえ、デフレへの懸念も強めることになるため、スイス中銀は2011年に1ユーロ=1.20スイスフランの「防衛ライン」を設定。この水準を割り込んだ場合は無制限にフラン買い・ユーロ売りを行う方針を打ち出し、これまでは市場介入によって為替レートの上限を維持してきた。

スイス中銀は先月11日の金融政策決定会合で、実質ゼロ金利政策と無制限介入を継続する一方、マイナス金利の導入は見送っていた。しかし、ルーブルの急落や欧州中央銀行(ECB)による緩和拡大の観測、さらにギリシャ政局の混乱などを受け、その後にスイスフランを買う動きが急速に加速。市場介入だけでは防衛ラインの維持は困難と判断し、追加措置としてマイナス金利の導入を決めた。