欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/1/12

西欧

サンタンデール銀、75億ユーロの大型増資へ

この記事の要約

スペイン最大手銀行のバンコ・サンタンデールは8日、最大75億ユーロの増資を実施すると発表した。ユーロ圏の大手銀行と比べて低い自己資本の増強が目的で、同行としては世界金融危機の渦中にあった2008年に72億ユーロを調達して […]

スペイン最大手銀行のバンコ・サンタンデールは8日、最大75億ユーロの増資を実施すると発表した。ユーロ圏の大手銀行と比べて低い自己資本の増強が目的で、同行としては世界金融危機の渦中にあった2008年に72億ユーロを調達して以来の大型増資となる。

リーマンショックに伴う国内の不動産バブル崩壊で大きな打撃を受けたサンタンデールはブラジル、英国など主要海外事業の好調に支えられて経営が改善し、欧州中央銀行(ECB)がユーロ圏の金融機関を対象に昨年実施したストレステスト(健全性審査)をパスした。しかし、金融危機の影響が尾を引いており、時価総額でユーロ圏最大の銀行でありながら自己資本比率は低水準にある。このため、投資家から資本増強を求める声が強まっていた。

同行は増資を拒んできたが、28年間にわたって同行の経営を率いてきたエミリオ・ボティン前会長が昨年9月に急死したことを受けて1月に発足した娘のアナ・ボティン新会長を中心とする新体制は、市場の信頼を高めるため大型増資を決めた。同時に、2015年の配当を0.6ユーロから0.2ユーロに減らす方針も打ち出した。

増資は時価総額の約10%に相当する規模。新株を機関投資家に割り当てる。同行は声明で、増資は2019年1月から順守を求められる国際的な銀行資本規制「バーゼルⅢ」に沿った自己資本の増強が目的で、今後の成長や貸し出し拡大につなげるとしている。ただ、一部ではECBのストレステストで資本不足と判定され、身売り観測が浮上している伊3位銀行バンカ・モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(MPS)の買収に乗り出すとの見方が出ており、MPSの株価は同日に急上昇した。