欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/1/12

西欧

英スタンダードチャータード、機関投資家向け株式事業から撤退

この記事の要約

英大手銀行スタンダードチャータードは8日、機関投資家向けの株式事業から撤退すると発表した。業績建て直しに向け不採算事業を閉鎖・縮小する戦略の一環で、リテールバンキング部門でも追加人員削減を実施する。 撤退するのは現物株式 […]

英大手銀行スタンダードチャータードは8日、機関投資家向けの株式事業から撤退すると発表した。業績建て直しに向け不採算事業を閉鎖・縮小する戦略の一環で、リテールバンキング部門でも追加人員削減を実施する。

撤退するのは現物株式、株式引き受けなどを手掛ける資本市場(ECM)、株式調査。不採算のこれら3事業からの撤退により、アジアを中心に約200人が削減され、2016年は約1億ドルのコスト節減が見込まれる。一方、経済・債券調査のほか、転換社債と株式デリバティブ(金融派生商品)事業は継続する。

スタンダードチャータードは2015年中に4億ドルのコスト削減を達成することを目標に掲げている。リテールバンキング部門では過去3カ月間に2,000人を削減しており、年内にさらに2,000人を削減する。これにより2億ドルのコストを圧縮できるという。同部門では主要都市への資源集中とデジタルバンキングへの移行により店舗を80~100カ所閉鎖する計画で、昨年下期に22支店を閉鎖した。

アジアなどの新興市場に重点を置いて事業を展開するスタンダードチャータードは、資源価格の下落や新興国の成長鈍化に加えて不良債権の増加と規制関連費用の上昇が収益を圧迫。事業環境の悪化が懸念され、同行の株価は過去1年間で20%強下落している。同行のピーター・サンズ最高経営責任者(CEO)は声明で、「今後も非中核・不採算事業の閉鎖・見直しと中核事業の生産性を向上させることでコスト削減を進める」と述べた。