欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/1/12

東欧・ロシア・その他

ポーランド政府、電力4社の統合を計画

この記事の要約

ポーランド政府は国営電力企業4社を統合する計画を進めている。電力部門の国際競争力を高めるのが狙い。カルピンスキ財務相が8日、電子メールを通じて発表した声明で明らかにした。 カルピンスキ財務相は、「欧州市場におけるポーラン […]

ポーランド政府は国営電力企業4社を統合する計画を進めている。電力部門の国際競争力を高めるのが狙い。カルピンスキ財務相が8日、電子メールを通じて発表した声明で明らかにした。

カルピンスキ財務相は、「欧州市場におけるポーランドのエネルギー産業の重要性を高めたい」としてPGE、タウロン・ポルスカ・エネルジア、エネルガ、エネアの国営電力4社を統合する計画を今月後半に発表する予定であることを明らかにするとともに、「十分な資本と割安に資金を調達する能力を持つ企業だけがポーランドのエネルギー安全保障を確実なものにすることができる」と述べた。

政府は2010年、エネルガの民営化の一環としてPGEによる買収を試みたが、競争・消費者保護庁(UOKiK)の承認が得られず断念。12年にはエネアとエネルガを統合する計画が浮上したこともある。政府が今回発表した統合計画についてINGグループのエクイティリサーチ部門の責任者を務めるクニガウカ氏は、「全く新しいアイデアであり市場にとってはサプライズだ」とする一方で、「PGEとエネルガの合併計画が頓挫して以降、電力会社の統合計画はすべて立ち消えになっていた。投資家は少数株主の処遇について不安を抱くのではないか」と指摘した。

カルピンスキ財務相はまた、電力会社が合併することによって、石炭最大手コンパニア・ヴェングロヴァ(KW)を救済するため政府が設立する特別目的会社への出資が容易になるとの見方を示した。政府は経営難に陥っているKWが保有する炭鉱4カ所を閉鎖し、残る9カ所を国営の石炭商社ヴェングロコクス傘下に新たに設立する特別目的会社に移管する計画で、電力会社とこの特別目的会社への出資について交渉を進めている。コヴァルチク財務次官によると、KWの再編計画には23億ズロチ(約6億3,000万ユーロ)の費用がかかる見通しだ。