欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/1/26

総合 – 欧州経済ニュース

ギリシャ総選挙で反緊縮派が圧勝、欧州債務危機が再燃か

この記事の要約

ギリシャで25日に実施された総選挙で、同国がEUなどに約束した財政緊縮策に反対する野党の急進左派連合(SYRIZA)が圧勝し、反緊縮派の政権が誕生することになった。これを受けてギリシャの財政再建が後退するのは必至で、欧州 […]

ギリシャで25日に実施された総選挙で、同国がEUなどに約束した財政緊縮策に反対する野党の急進左派連合(SYRIZA)が圧勝し、反緊縮派の政権が誕生することになった。これを受けてギリシャの財政再建が後退するのは必至で、欧州債務危機の再燃が懸念されている。

ギリシャ議会は定数300。開票率約99%の時点で、チプラス党首(40)率いる急進左派連合は過半数に迫る149議席を確保し、改選前の71議席から倍増した。サマラス首相の新民主主義党(ND)は76議席にとどまった。

ユーロ圏の信用不安の震源地となったギリシャは、2010年から12年にかけてEUと国際通貨基金(IMF)から総額2,400億ユーロの緊急金融支援を取り付け、一時はユーロ離脱さえささやかれた危機を何とか沈静化させた。ただ、支援の条件として、財政再建に向けた厳しい緊縮策の実施を求められている。サマラス首相は約束を守り、緊縮策を進めてきたが、国内では年金支給額の削減、増税、公務員削減など厳しい措置に対する反発が大きく、今回の総選挙は緊縮策継続の是非を問う国民投票の様相を呈していた。

選挙戦は反緊縮を唱え、最低賃金引き上げや貧困層の年金増額などを公約に掲げる急進左派連合が終始優勢だった。与党陣営は緊縮策放棄が債務危機を再燃させるとして支持を訴えたが、大敗を喫した。

急進左派連合はあと2議席上積みし、過半数を確保できるかどうかは微妙な情勢だが、第1党となったため、チプラス党首がギリシャ史上最年少の首相となることが確実となった。同党は過半数に至らなかった場合、独立系の少数政党と連立交渉に入ると見られる。

チプラス党首は同党が政権を握った場合、財政再建計画の見直しに向けた交渉をEUと行う方針を打ち出しているが、受け入れさせるのは至難の業で、EUとの対立が強まる恐れがある。当面は同国の財政再建をめぐる情勢は不透明となり、市場の動揺は避けられない見通しだ。