欧州司法裁判所の一般裁判所は22日、EUが核開発を進めるイランへの制裁の一環として実施している同国の大手銀行および海運会社の資産凍結および取引禁止措置について、これらの企業が制裁を受けるべき証拠が十分に示されていないとして無効とする判断を示した。
EUは2012年、イランの大手商業銀行であるテジャーラト銀行が、すでに制裁対象となっている他の銀行に金融サービスを提供し、政府の核開発プログラムを支援したとして同行を制裁対象に追加した。欧州一般裁判所は、EUは秘匿性を理由に制裁の根拠を十分に示さなかったと指摘するとともに、イラン政府が同行に少数出資しているという事実だけで制裁を正当化することはできないとした。また、国営船会社イラン・シッピング・ライン(IRISL)の関連会社40社に対する制裁措置についても、IRISL自体への制裁を無効とする判断がすでに示されていることを理由に解除とすべきとした。
欧州一般裁判所の判決を受け、EUは今後2カ月と10日以内にこれらの企業を引き続き制裁対象とするための新たな法的根拠を示すか、欧州司法裁判所に控訴することになる。
イランの核開発問題をめぐる同国と米英ロなど6カ国による協議は、ウラン濃縮の規模や欧米による制裁解除の方法などをめぐって難航。昨年11月に最終合意の交渉期限が6月30日までに再延長された。