欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/1/26

総合 – 欧州経済ニュース

英労働党が対EU関係見直しを約束、総選挙控え保守党をけん制

この記事の要約

英国で5月に実施される総選挙は、反EUを掲げる英独立党(UKIP)をはじめとする小規模政党の台頭を背景に、過去にない接戦が予想されている。キャメロン首相は総選挙で保守党が勝利した場合、EUとの間で英国の加盟条件について再 […]

英国で5月に実施される総選挙は、反EUを掲げる英独立党(UKIP)をはじめとする小規模政党の台頭を背景に、過去にない接戦が予想されている。キャメロン首相は総選挙で保守党が勝利した場合、EUとの間で英国の加盟条件について再交渉したうえで、17年末までにEU残留の是非を問う国民投票を実施すると表明しているが、最大野党・労働党はこれに対し、保守党が第1党の座を維持することになればEUとの関係で「引き返すことができない局面」を迎えると警告。逆に労働党が勝利した場合はEUとの関係を根本から見直し、外交政策を通じてEU改革を進めることができると強調している。

労働党の「影の内閣」で外相を務めるダグラス・アレクサンダー議員は20日、訪問先のパリでファビウス仏外相と会談し、英国とEUの関係性について労働党の立場を説明した。同議員はキャメロン政権下で欧州における英国の影響力が「著しく低下した」と指摘。国民にEU残留の是非を問うことは政治・経済面で不安定要因になりうるとし、EUへの新たな権限移譲に英側が同意した場合に限って国民投票の実施が正当化されるとの考えを示した。

同氏はさらに、労働党が政権を取り戻した場合、在ブリュッセル英国政府代表部や欧州委員会などのEU機関に派遣する人材やポストを見直すなどして英国の発言権を強化する一方、他のEU加盟国とさまざまな問題に関して2国間の首脳会議を行うなど、EUの中心的メンバーとして積極的にEU改革に取り組む姿勢を強調。このほか英議会でEUに関する問題について議論する機会を増やし、EUルールを国内法に置き換える作業などでも議会の権限を拡大する必要があるとの考えを示した。