欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/1/26

西欧

SAPが利益目標引き下げ、クラウド事業拡大優先で

この記事の要約

業務用ソフト大手の独SAPは20日の暫定決算発表で、中期利益率目標を引き下げた。将来性の高いクラウド事業を速やかに拡大して同事業分野で業界トップを獲得するために、当面は収益力よりも規模の拡大を目指す考えだ。 同社は201 […]

業務用ソフト大手の独SAPは20日の暫定決算発表で、中期利益率目標を引き下げた。将来性の高いクラウド事業を速やかに拡大して同事業分野で業界トップを獲得するために、当面は収益力よりも規模の拡大を目指す考えだ。

同社は2017年の営業利益(非IFRSベース)で63億~70億ユーロ、同売上高で210億~220億ユーロを目指すことを明らかにした。これをもとに計算すると売上高営業利益率は28~33%で、従来目標の35%を下回る。

SAPはクラウド事業の強化に取り組んでおり、昨年9月には米コンカーの買収計画を発表。同買収により企業向けクラウドサービス市場で米セールスフォースに次ぐ2位に浮上する。今後3~4年は大型買収を控えるものの、クラウド事業の拡大を継続。15年には同事業の売上高を約2倍の19億5,000万~20億5,000万ユーロに拡大し、20年には75億~80億ユーロに引き上げる目標だ。現在最大のライセンス収入(ソフト販売)事業を18年に抜くと予想している。

14年12月期暫定決算(非IFRSベース)の売上高は175億8,000万ユーロで、前期を4%上回った。ライセンス収入は3%減の43億9,900万ユーロに落ち込んだものの、クラウド事業が45%増の11億100万ユーロへと急拡大。全体が押し上げられた。営業利益は3%増の56億3,800万ユーロ、税引き後利益は4%増の41億7,800万ユーロだった。

15年12月期は営業利益で56億~59億ユーロを見込む。