欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/1/26

東欧・ロシア・その他

中東欧諸国、スイスフラン高への対応策を模索

この記事の要約

スイス中央銀行によるスイスフランの上限措置撤廃でフラン高が急激に進んだことを受け、中東欧諸国が対処に乗り出し始めた。クロアチアでは国内通貨の対フラン為替相場を固定する時限措置を発表。ポーランド当局も債務者救済に向けて金利 […]

スイス中央銀行によるスイスフランの上限措置撤廃でフラン高が急激に進んだことを受け、中東欧諸国が対処に乗り出し始めた。クロアチアでは国内通貨の対フラン為替相場を固定する時限措置を発表。ポーランド当局も債務者救済に向けて金利引き下げなどの可能性を探っている。

クロアチア政府は20日、1年間の時限措置として、通貨クナの対スイスフラン為替相場を上限措置撤廃前の1フラン=6.39クナ(0.83ユーロ)に固定することを決定した。フラン建て債務を抱える国内世帯を保護する狙い。実勢相場との差額は金融機関に負担を求める。23日には議会が消費者金融法改正案を承認した。また、ミラノビッチ首相は、1年後に外貨建て債務をクナ建てに転換するプログラムを実施することで、中銀との合意を探る姿勢を示した。

クロアチア銀行協会(HUB)は今回の決定に驚いている。財務相との16日の会合で、固定相場の適用期間を最長3カ月とすることで合意していたためだ。一方、債務者の団体「ウドゥルガ・フラナク(フラン協会)」は、「一定の前進」としながらも、「融資契約を契約日のレートでクナ建てに転換することを引き続き求めていく」姿勢だ。

クロアチアでは推定6万世帯がフラン建ての債務を抱えている。スイス中銀の発表後、その総額は40億クナ(17%)増の270億クナ(35億ユーロ)に達した。

ポーランド中銀も特別措置が必要との見方だ。ベルカ総裁は19日、国内金融機関に対し、資金管理(キャッシュ・マネジメント)の見直しと、住宅ローン金利引き下げの検討を求めた。首相府も20日、フラン建て債務者に対し、貸し手である銀行の手続きで被害が生じたかどうかを点検するよう呼びかけた。金融監督庁および消費者保護団体がその相談に乗る。

セルビアでは弁済期間の延長や金利引き下げ、債務の一部を国内通貨建て融資に転換するなどの措置を検討する。ただ、為替差による損失は基本的に債務者が負担すべきとの立場だ。

ハンガリーは昨年11月、外貨建て融資契約を債務者に有利なレートで、国内通貨建て契約に転換できる法律が発効した。当局によれば、その具体的な方法について、ポーランドとクロアチアから照会を受けたという。