欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/2/2

EU産業・貿易

独自動車業界首脳、TTIPを支持

この記事の要約

ドイツの自動車業界首脳は1月28日、ベルリンで記者会見を開き、EUが米国との間で交渉を進めている環大西洋貿易投資連携協定(TTIP)に支持を表明した。 独自動車工業会(VDA)が主催した記者会見にはダイムラー、ポルシェ、 […]

ドイツの自動車業界首脳は1月28日、ベルリンで記者会見を開き、EUが米国との間で交渉を進めている環大西洋貿易投資連携協定(TTIP)に支持を表明した。

独自動車工業会(VDA)が主催した記者会見にはダイムラー、ポルシェ、BMW、フォルクスワーゲン、フォードの大手自動車メーカーのほか自動車部品大手のボッシュとキルヒホフのトップが参加。TTIPがドイツの自動車業界にもたらすメリットを強調した。米国はドイツの自動車メーカーにとって中国に次ぐ市場であり、景気回復に加えてガソリン価格の下落により今後一段と需要の拡大が見込まれる。BMWのライトホーファー最高経営責任者(CEO)は、TTIPによって関税が撤廃されればドイツの自動車業界だけで10億ユーロのコストが削減されるとの見方を示した。

ダイムラーのツェッチェ会長は、EUと米国で異なる自動車関連基準に対応するため、メーカーは開発や認証、衝突安全試験などで二重の負担を強いられていると指摘。「相互のルールを認め合い前進することは道理にかなっている。TTIPは大西洋の両側の市場をより良い形で統合するまたとない機会だ」と述べた。

TTIPはTPP(環太平洋連携協定)の欧米版にあたる。EUと米国は全分野の貿易・投資の自由化を目指し、2013年2月に交渉開始で合意した。実現すれば世界貿易の約3割を占める巨大自由貿易圏が誕生することになり、投資の活性化や雇用拡大につながると期待されている。ただ、ドイツ国内ではTTIPに対する反対論も根強い。ドイツ最大の労組である金属産業労組(IGメタル)と自動車産業の事業所委員会代表は27日に共同声明を発表し、「環境と消費者保護に関する基準の緩和や労働者の権利や共同決定権の崩壊は受け入れられない」としたうえで、TTIP交渉において主要な争点のひとつとなっている投資家対国家紛争(ISD)条項を除外するよう求めた。