欧州委員会は3日、ロシアがEU産豚肉の輸入を禁止しているのは不当として、世界貿易機関(WTO)に提訴する意向を表明した。話し合いでの問題解決を目指していたが、ロシア側が強硬姿勢を崩さなかったことから提訴に踏み切る。
ロシアは1月、リトアニアで野生のイノシシにアフリカ豚コレラが発生したことを理由に、EUからの豚肉の輸入を全面的に禁止した。EUは年間輸出量の4分の1に相当する70万トンの豚肉をロシアに輸出しており、禁輸措置はデンマーク、オランダ、ドイツなど主要な豚肉輸出国にとって大きな打撃となる。このためEUは全面禁輸措置の解除を求めてロシア側と協議してきたが、不調に終わったことから、欧州委は「EU産豚肉製品に対するロシアの不当な禁輸措置問題を解決するための外交的手段は尽きた」(クランシー報道官)として、WTO提訴に向けた準備作業に入った。
ロシアはEUにとって第三位の貿易相手国だが、このところのウクライナ情勢をめぐる対立から通商関係の悪化が懸念されている。