中国がEU、日本製の高性能鋼管に課している反ダンピング(不当廉売)関税をめぐる通商紛争で、世界貿易機関(WTO)の紛争処理小委員会(パネル)は13日、EU・日本側の主張をほぼ認め、反ダンピング措置を協定違反とする裁定を下した。
問題となっているのは、発電所などで使われるシームレス(継ぎ目なし)ステンレス鋼管に中国が発動している反ダンピング措置。EU製に11年、日本製には12年に反ダンピング関税を課した。EU製に対する税率は9.7~11.1%。これを不当とするEU、日本は12、13年にかけて相次いでWTOに提訴していた。
WTOのパネルはEU側の主張のうち、中国が安価な輸入製品の流入によって国内製品がどれだけ悪影響を受けているかの精査を怠ったとする点については認めなかった。しかし、その他の主要な部分ではEU側を支持し、中国の措置を協定違反と認定した。
これによって中国は是正を求められるが、パネル裁定を不服とする場合は60日以内に上訴することができる。
欧州委員会のマルムストロム委員(通商担当)は同日発表した声明で、同決定を歓迎すると同時に、中国政府に対してパネル裁定に従って即時に是正に乗り出すよう呼びかけた。