欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/2/16

EU産業・貿易

ハンガリーが銀行税引き下げ、EU平均水準まで減額

この記事の要約

ハンガリーのオルバン首相は9日、銀行税と呼ばれる金融機関向けの特別税を大幅に引き下げると発表した。15年から段階的に実施し、EUで最高水準にある銀行の税負担をEU平均並みの水準まで軽減する。 ハンガリー政府は2010年9 […]

ハンガリーのオルバン首相は9日、銀行税と呼ばれる金融機関向けの特別税を大幅に引き下げると発表した。15年から段階的に実施し、EUで最高水準にある銀行の税負担をEU平均並みの水準まで軽減する。

ハンガリー政府は2010年9月、EUの財政規律に従って財政赤字を削減するため、新たな税収源として銀行税を導入。資産規模に応じて課税している。当初は12年末までの時限措置だったが、13年に恒久化された。これまでの課税額は8,430億フォリント(約72億4,000万ユーロ)に上る。

同税の減額は、国内金融市場を支配する外銀が反発していることを考慮したもの。政府がエルステ銀行(オーストリア)のハンガリー子会社の株式最大30%を欧州復興開発銀行(EBRD)と共同で取得することを決めた際、EBRDとの合意事項に盛り込まれた。

オルバン首相によると、税額は2015、16年に大幅に引き下げ、17~18年にも追加減税を行う予定。15年の課税額は1,440億フォリオントの予定だが、16年には600億フォリオントまで下がるという。

政府が同日発表したEBRDとの合意では、政府とEBRDがエルステ銀ハンガリー子会社の株式をそれぞれ最大15%取得する。取引額は未定。

同国の銀行業界では最大手のOTPバンクがハンガリー資本となっているものの、他の大手銀行はエルステ銀やオーストリアのライファイゼン銀行、伊ウニクレディトなど欧州系外銀の子会社で占められている。政府は銀行に対する統制力を強め、貸し渋りを解消することなどを目的に、外資系銀行を買収した上で民営化し、地場資本とする政策を推進しており、昨年に米GEキャピタル傘下のブタペストバンクと独バイエルン州立銀行のハンガリー子会社MKBを買収した。エルステ銀への出資も同戦略に沿ったものとなる。