欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/3/9

総合 – 欧州経済ニュース

南西欧地域の系統連系を強化、余剰電力の有効活用図る

この記事の要約

欧州委員会とフランス、スペイン、ポルトガルの3カ国の首脳は4日、電力系統の連系を強化することで合意した。イベリア半島が欧州の電力系統から孤立している状態を改善し、スペインやポルトガルで発生した余剰電力の有効活用を図る。 […]

欧州委員会とフランス、スペイン、ポルトガルの3カ国の首脳は4日、電力系統の連系を強化することで合意した。イベリア半島が欧州の電力系統から孤立している状態を改善し、スペインやポルトガルで発生した余剰電力の有効活用を図る。

スペインとポルトガルは再生可能エネルギーの普及が進んでおり、その比率はスペインで17%、ポルトガルで25%に達する。両国とも再生可能エネルギーによる発電のピーク時には余剰電力が発生するが、イベリア半島と欧州の他の地域との国際連系線容量が不足しているため、この余剰電力を有効に利用することができない。こうした状況の改善に向け、先月にはピレネー山脈東部にスペインとフランスを結ぶ国際連系線が完成したほか、ビスケー湾でも両国をつなぐ海底電線を敷設する計画が進んでいる。

首脳らは今回、南西欧地域の系統連系のさらなる強化を目指すハイレベル作業部会を立ち上げることで合意した。作業部会は重要なインフラ整備プロジェクトの認定や実施を担当する。また、欧州委はイベリア半島と欧州の他の地域との国際連系線の費用便益分析や技術的可能性に関する調査を実施、来月半ばまでに報告書をまとめる予定だ。

欧州委は先月25日に発表した「エネルギー同盟」に関する戦略案の中で、2020年までに加盟国の国際連系線容量を発電容量全体に対して10%とすることを目標に掲げている。ユンカー委員長は、「欧州エネルギー同盟に関する最初の具体的な合意に達した。我々は今日、エネルギーの地域的収束のユニークなプロセスをスタートさせた。これが欧州全体に広がることを望む」」と述べた。

会議ではまた、スペインとフランスのガス供給網接続を改善するため、凍結されていたスペイン北東部のカタルーニャとフランス南部を結ぶ送ガス管建設プロジェクトを再開することでも合意した。