欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/3/9

総合 – 欧州経済ニュース

ユーロ圏、ギリシャへの第3次支援を検討=スペイン経済相

この記事の要約

スペインのデギンドス経済相が2日、ユーロ圏がギリシャに対する最大500億ユーロ規模の第3次支援を検討していると述べた。追加支援の可能性は以前から取り沙汰されていたが、閣僚レベルで公言したのは初めて。ギリシャはEUから現行 […]

スペインのデギンドス経済相が2日、ユーロ圏がギリシャに対する最大500億ユーロ規模の第3次支援を検討していると述べた。追加支援の可能性は以前から取り沙汰されていたが、閣僚レベルで公言したのは初めて。ギリシャはEUから現行金融支援の4カ月延長を取り付けたばかりで、関係者は同発言内容を否定しているが、大きな波紋を広げている。

信用不安で深刻な債務危機に陥ったギリシャは、EUと国際通貨基金(IMF)から2010年に1,100億ユーロ、12年に1,300億ユーロの緊急金融支援を取り付け、何とか危機を乗り切ってきた。反緊縮を掲げる新政権の発足を受け、第2次支援の最後の融資実行が凍結されている問題でも、財政改革を進めることで2月に合意し、同月末が期限だった支援期限の4カ月延長が決まっていた。

デギンドス経済相の発言は、国内で開かれた会議の席上で飛び出したもの。すでにユーロ圏が第3次支援について協議しているという内容だ。現行支援に新たな条件を加味した枠組みに基づき、300~500億ユーロを支援する方向で検討しており、スペインが13~14%を負担するとも語った。

ギリシャ政府は緊縮策の実施など厳しい条件がつく金融支援からの脱却を望んでおり、第2次支援の最後の融資が実行されれば、その後は不測の事態に備えた予防的融資枠をユーロ圏が設定した上で、基本的には自力で資金を調達し、景気・雇用などに目配せしながら財政を運営するというのが既定路線。これまでに第3次支援を要請したことはない。ユーログループ(ユーロ圏財務相会合)のデイセルブルム議長(オランダ財務相)の報道官は2日、「同支援を協議したことはない」と述べ、デギンドス経済相の発言を否定。欧州委員会のユンケル委員長も「そのような話し合いはない」と述べた。

ただ、現行支援が終了する7月以降にギリシャが国債発行で必要な資金を調達できるかは危うい状況で、何らかの支援が必要との見方が多い。ドムブロフスキス副委員長(ユーロ・社会対話問題担当)は2日、ブルームバーグに対して、ギリシャは現行支援終了後に「追加の取り決めが必要になるだろう」と述べた。