欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/3/9

総合 – 欧州経済ニュース

ECBが9日に量的緩和開始、景気見通しは引き上げ

この記事の要約

欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は5日、キプロスで開いた定例政策理事会後の記者会見で、ユーロ参加国の国債などを買い取る量的金融緩和を9日に開始すると発表した。総額1兆1,000億ユーロに上る同措置の実施によって、消費者 […]

欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は5日、キプロスで開いた定例政策理事会後の記者会見で、ユーロ参加国の国債などを買い取る量的金融緩和を9日に開始すると発表した。総額1兆1,000億ユーロに上る同措置の実施によって、消費者物価の押し上げ、景気回復の下支えを図る。

ECBは1月、デフレ回避策の切り札として、量的緩和の実施を決めた。国債のほかEUの機関が発行する債券、社債を流通市場から毎月600億ユーロ買い取る。同額にはすでに実施している資産担保証券(ABS)、担保付き債券(カバードボンド)の買い取りも含まれる。ユーロ圏のインフレ率を2%前後まで引き上げるのが目標で、16年9月まで実施する。インフレ目標を達成できない場合は実施期限を延長する方針だ。

一方、ECBは同日発表した最新の内部経済予測で、ユーロ圏の2015年のGDP予想伸び率を1.5%とし、前回(12月)の1%から大幅に上方修正した。16年も1.5%から1.9%に引き上げた。量的緩和や原油安の経済効果を見込んだもので、ドラギ総裁は「景気回復は拡大し、力強さを増すと予想している」と述べた。インフレ率については、15年が0%と前回の0.7%から下方修正したが、16年には1.5%、17年には1.8%まで上昇するとの予測を打ち出した。

同日の理事会では、ユーロ圏に適用される最重要政策金利を過去最低となる現行の0.05%に据え置くことを決めた。